ぼぉ〜っとしてたら、トーストを焦がしてしまった。
あ〜、やっちゃった!と、焦げたトーストを眺めてたら、ふっと大好きだったおばあちゃんのことを思い出した。
幼稚園の頃くらいの話なので詳細は覚えて無いのだけれども、2人だけで朝ご飯をすることになって、大好きなおばあちゃんに褒めてもらいたい気持ちいっぱいだったのか、やったこともないトースト作りを買って出て、結果、大失敗。
焦げたトーストを前に泣きべそかいてる私に、おばあちゃんが「秘密のお話しようか」と囁き声で言い出して……。
「本当はね、おばあちゃんは焦げたトーストが一番好きなの。何故ってね、ほら、こうやって食べれるから」と、トーストにバターをたっぷり塗った上にお砂糖をまぶしてニッコリしながら、ぱくり。
疑惑の眼差しで眺めていただろう私にも差し出して、「ほら、みぃちゃんも食べてごらん?美味しいよ」と。
実際は、幼稚園児には苦さのが強かったんだけど(笑)、それでも、トーストにお砂糖なんて組み合わせは初めてだった私。バターのコクとお砂糖の甘味が新鮮で、かつ、おばあちゃんと秘密を共有できてる感が嬉しくて、にっこり笑って「美味しい!」って言った覚えがある。
今考えると、決して焦げたトーストが一番好きだったとは思えないけど(笑)、でも、その後も何度か『”少し” 焦がし目のトースト+バター+砂糖』を用意しては、私を見てウィンクしてたっけ……。
おばあちゃんの心遣いと優しさが思い起こされて、焦げて苦いトーストが、ほんわか優しい味になった、そんな朝。